近畿地方のある場所について|映画感想(ネタバレあり)

鳥居とおばけ

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『近畿地方のある場所について』、映画が始まりましたね。白石晃士監督作品。
小説を読んでいたので、どんな映画になっているのか…楽しみでした。
こちらの記事では、ストーリーや感想などを紹介して行きます。

ネタバレを含みますので、ダメなかたはごめんなさい。

笹菜

記事の最後には動画もあるので、良ければ見ていって下さい。

目次

ストーリー

映画は、オカルト雑誌の編集者、佐山が記事のデーターを持ったまま失踪してしまうところから。同僚の小沢は、オカルトライターの瀬野千紘とともに彼の残した資料を調べて、代わりに記事を書くことに。
彼が消息を絶つ直前まで調べていたのは、失踪事件や中学生の集団ヒステリー事件、都市伝説、動画配信騒動など、過去の事件でした。
それぞれ関係のない不気味な事件に見えましたが、調べていくうちにそれらの発生場所が近畿地方に集中している事が判明。

ツーリングの男性が訪れた祠。人形が納められており不気味さもすごかったが、男性の様子もおかしくなって…?

「おーい。おーい。」と山から呼ぶ…やまへさそうもの。
中学生の集団ヒステリー事件でも、何者かの声がした後に倒れる生徒が続出した。
まさるさま。ましらさま。
映画では昔話としてアニメーションで出てきましたが、母親代わりの嫁を欲して、女性を山へ呼び込む怪異。「おーい。おーい。柿もあるよー」と、山へ呼び込みます。
この怪異、ある団地の子もたちの間では生贄の必要な鬼ごっこのように伝わっていました。

廃墟になっていた首吊り屋敷には、鳥居の描かれた大量のシールと、畳に大穴もあってナニカがそこにあった様子。動画配信者の動画には、あきらかに何かが映り込んでいました。

両手をあげて不気味にジャンプする赤い服の女と、首の伸びた男の子。
これは首を吊った息子と、それを助けようと必死に手を伸ばす母親のことだったらしい。
これは『ましらさま』の鬼ごっこ遊びの生贄として死んでしまったのでは…とも考えられている。
この母親はある宗教にいれ込んでおり、息子の死後…奇妙な鳥居の描かれたシールを張り続けていたのだそう。(このシールがさらに呪いをひろめていく形に…。)

千紘は、危険だから下手に動かないように小沢に忠告をしていた。しかし、その忠告に反して動いた末に、とり憑かれた小沢。
千紘が小沢の行ったであろう場所に急ぐと、明らかに様子のおかしい小沢がいた。彼の影には赤い女もいて、千紘は急いで小沢を引っ張って戻る。
千紘の家に招かれた小沢は忠告を無視したことを怒られるが、そこで千紘の息子が亡くなっていたことを知る。

失踪した佐山をようやく探し出すことができたが、いざ尋ねてみると家の中はめちゃくちゃ。鳥から犬まで、ケージの中で息絶えているという悲惨な状況だった。
ナニカから逃れるために動物を飼い、生贄のようにしていたようだ。
佐山は千紘に対して「次はこいつか?」とキツイ言い方をします。
(後にこの意味が判明します。)
小沢にUSBを渡し何かの情報をくれますが、佐山と奥さんはこのあと衝撃の展開に…(ここはかなりショッキング)

急いで逃げてきた二人は、佐山からもらったUSBを見てみることに。
そこには「あまのいわやと」という宗教団体のインタビュー動画があり、両手をあげてジャンプをする不思議な祈りの仕方から、生活について明るく紹介されていました。ここには「やしろさま」と呼ばれる黒い石が信奉されているとのこと。(ましらさまの祠から盗まれた黒い石?)

最後に教団員の女性たちが笑顔で手を振る様子が流れ………。
笑顔の千紘もそこにいた。

笹菜

?!?

動揺する小沢に、千紘は昔のことを語りだす。
息子を連れて出かけた先でうたた寝をしてしまい、気が付いた時にはベビーカーごと息子が消えていたのだと。そして最悪なことに、池で息子は発見された。
大事な人を亡くした人たちが団体に入っており、この時の千紘もそうだった。
黒い石が消えて団体は解散したが、千紘はあの石が元凶なのだと、小沢と近畿地方の山へ向かうことになる。

山のトンネルまで来た時…。赤い服の女が立ちふさがった為いそいで戻るも、後ろには男の子の霊が。
突っ切ろうと赤い女を跳ね飛ばして突き進むが、祠に黒い石はなかった。それでもさらに山の奥へと進むと、池にたどり着く。大きな木の影から白い巨人のようなものがでてくる…。
そこで小沢は千紘の後ろに黒い石の姿を見る。

今までの必死な姿から打って変わって、千紘はとても静かな…穏やかな表情だった。

息子を殺された千紘は、赤い服の女と同じように黒い石の力を頼った。失踪した佐山にも同じ企みを考えていたのだろう。しかし怪異に襲われ逃げる形となった。
佐山が「俺の次はこいつか」ときつく千紘に言った理由が判明。

石に取り込まれてしまう小沢。



後日…画面に向かい、「行方不明の友人を探しています…。」と告げ、抱えた赤ん坊に微笑みかける千紘だった。

重要な怪異について

話が複雑だったので重要な怪異をおさらい。

まさるさま・ましら 

「おーい。おーい。」と山から呼ぶ…やまへさそうもの。昔話まさるさまと、近畿地方の団地で行われていたましらさまという遊びは深い繋がりがある様子。
昔話によると、まさるは母を失って泣いていたところ、神様(?)から「嫁をとって母親代わりにしろ」と助言を受けてその通りにします。助言とともに柿の実ももらい、呼びかけに使うが女たちは気味悪がって避けていた。
誰にも見向きもされず…まさるは死んでしまうが、その後も山からは「おーい、おーい、柿もあるよー」という声が聞こえ、柿が山から転がってきたという。

小説では神様は出てこず、まさるが村の女を石で殺した疑いを掛けられてリンチされた末に、その石に頭をみずから打ち付けて死んでいる。その後、なぜか女たちの怪死が続いた為、例の黒い石を「ましらさま」として祀ることになった。それでも山へ引き寄せられるので、女がつれていかれないように祠に人形(身代わり)を供えていた。

了(あきら)

ましらさまの遊びが行われていた団地で、了(あきら)という少年が首を吊った状態で発見される。
「見たら死ぬ動画」を見た目黒の前に現れた、首の曲がった少年はこの了だった。母親のやった何かで蘇った了は、強力な怪異となっており、命を取り続ける存在になってしまった。これは住職でも祓うことができず、その対処として生き物を飼うことを助言した。
目黒もそうだが、失踪した佐山もこの対処法で了をしのいでいた。

赤い服の女(ジャンプ女)

了が首を吊った状態で発見された時、了の母は赤い服を着て手を伸ばしジャンプをしていたとのこと。その後、了の母は四隅に「了」と書いた鳥居の絵をあちこちに貼って回るようになったという。
この母親、ましらさまの石を崇める宗教団体に入信していた為、ましらさまの力で息子を蘇らせようと動いていました。その願いが叶うも、了の養分(生贄)を得るために、ネットを含む様々な手段を使ってあの絵を拡散していたらしい。

ネタバレになりますが、小説ではもっと詳しく語られています。
映画公開前に出た『文庫版』では、この赤い女についてまた違う設定のストーリーを読むことができました。

新たな驚きとともに、切ないような、悲しい…引き込まれるお話でした。

文庫版もおすすめです。

感想

宗教団体のインタビュー動画は、みんなでぴょんぴょんしていてえええ?と少し笑ってしまいそうになりましたが、そこで発覚した事実に驚愕。まさかの人物が。

菅野美穂さんの演技も、すごく引き込まれました。
前半は落ちついた大人の女性。といったイメージがが強かったのですが、後半には本当にいろんな顔を見せてくれます。
トンネルや祠での菅野さんは激しさ。真相が明かされた時の菅野さんは、静かな怖さを感じました。赤楚衛二さんのこわがりかた、動揺する様子などもすごかったです。映画を見る側に近い心境と言いますか。追い詰められてこの先何があるのか分からない不安感が伝わって来ました。

ただ、クライマックスの怪異。
急にもののけ姫のあのキャラクター??と思うものが出ちゃったので、「あージブリっぽい。」という感想。
ただ、結末はちゃんと怖かったです。
小説を読んでいないと、なに?これ??と思う部分は正直多いと思いますが、あえて知らずにいってもうわあ!!と結末に驚けると思います。
正直小説も、いろんな事件や怪異が登場するので理解するのに時間は掛かりましたが、こうして映画で観るととても面白かったです。そして怖かった…!

小説も違う怖さがあるので、未読のかたにはおすすめです。

見つけてくださって、ありがとうございます。

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